前書
 昭和15年04月01日施行の宗教団体法以前には十三宗五十六派が公認されていました。

 伝統仏教十三宗とは、奈良時代の南都六宗のうち現代まで生き残った3宗派の法相宗華厳宗律宗。これらを奈良仏教と言います。平安時代初期に成立した天台宗真言宗。これらを平安仏教と言います。

 平安時代末期から鎌倉時代に成立した融通念仏宗浄土宗浄土真宗日蓮宗(法華宗)と時宗。これらを鎌倉仏教と言います。

 坐禅を組んで修行する禅宗系の臨済宗曹洞宗黄檗宗

 合計13宗派となります。今回は、十三宗総ての総本山に参拝するとともに各宗派の歴史や特徴を調べて理解することを目標にしたいと思います。

 伝統仏教十三宗 

ほっそうしゅう
法相宗

 法相宗は、中国創始の仏教の宗派の一つです。白雉04年(西暦653年)に道昭(どうしょう)が唐に留学し、日本に伝えました。

 南都六宗の一つとして栄え、8世紀から9世紀頃に最も隆盛した宗派です。

 大東亜戦争後、奈良の法隆寺は聖徳宗を名乗って独立、京都の清水寺も北法相宗を名乗って独立。現在は興福寺薬師寺の2本山体制です。


宗祖 道昭

平成24年07月08日
本尊 盧舎那大仏

けごんしゅう
華厳宗

 華厳宗は、中国創始の仏教の宗派の一つです。天平08年(西暦736年)に審祥(しんしょう)が唐に留学し、中国の華厳宗3祖法蔵に学び、日本に伝えました。

 総本山の東大寺は、聖武天皇が天平15年(西暦743年)に毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)造立の勅願を発布し、国全体を護る寺として成立しました。

 南都六宗の一つとして栄えました。

りっしゅう
律宗

 律宗は、中国創始の仏教の宗派の一つです。天平勝宝05年(西暦753年)、唐人である鑑真によって伝えられました。

 鑑真は、東大寺に戒壇を開き、聖武上皇、称徳天皇などに日本で初めて戒律を授けました。

 その後、唐招提寺(とうしょうだいじ)を本拠として戒律研究、教義研究を主とする学問仏教の宗派として今日まで生き残りました。


開祖 鑑真


開祖 最澄

てんだいしゅう
天台宗

 天台宗は、妙法蓮華経(法華経)を根本経典とする天台教学に基づく宗派です。伝教大師最澄によって平安時代初期に日本に伝えられました。

 開祖の最澄は、総ての衆生(人間)は成仏できるという考えを広めていました。これは当時の仏教が貴族階級・上流階級の特権であったことから、とても革新的で、南都六宗に代表される奈良仏教と激しい宗教論争をうみました。但し、総ての人間と言っても女性は除かれていました。つまり男性だけが対象でした。

 また最澄は、特に飲酒に厳しい態度を示していたようです。「飲酒するものは私の弟子ではなく仏の弟子でもないから即追放するように」と述べています。

しんごんしゅう
真言宗

 真言宗は、平安時代初頭に広がりました。開祖は弘法大師空海です。唐で学んだ後、弘仁14年(西暦823年)に嵯峨天皇より勅賜された京都の教王護国寺(きょうおうごこくじ)を真言宗の根本道場として宗派を固めました。

 真言宗には、真言宗十八本山と呼ばれる宗派があり、現在、巡礼コースとして専用の御朱印帳があるほど人気があります。僕も巡礼してみようと企んでいます。


開祖 空海


開祖 良忍

ゆうずうねんぶつしゅう
融通念仏宗

 融通念仏宗の開祖は聖応大師良忍(りょうにん)です。良忍は元々、天台宗の僧侶でしたが、修行中に阿弥陀如来に教えを受けたとして融通念仏宗を開きました。

 総本山の大念仏寺は、大治02年(西暦1127年)に鳥羽上皇の勅願により、良忍が開設した日本最初の念仏道場です。

 教義は、融通念仏といい、1人の念仏が万人の念仏に通じるという考えです。ようするに称名念仏(南無阿弥陀仏を唱えること)で阿弥陀如来の本願力と自分の念仏、他人の念仏が合わさって、浄土に行けると説きました。

じょうどしゅう
浄土宗

 浄土宗の開祖は法然(ほうねん)です。教義は、専修念仏(合掌礼拝時に南無阿弥陀仏と称えること)を中心とします。

 承安5年(西暦1175年)法然43歳の時、比叡山から出て、浄土宗を布教しました。日本仏教史上初めて、一般の女性にも布教をおこなった仏僧です。それまでは、権力者だけが対象であったり(奈良仏教)、男性だけが対象であったり(平安仏教)しました。

 平安時代末期から鎌倉時代に移り変わるとき、ようやく仏教も男女共に救おうとする流れが生まれてきたのです。しかし、時の政府の理解は得られず、法然は、四国へ流罪となりました。


開祖 法然


開祖 親鸞

じょうどしんしゅう
浄土真宗

 浄土真宗(じょうどしんしゅう)は、鎌倉時代初期の僧である親鸞(しんらん)が、師である法然(ほうねん)によって広められた浄土往生を説く教え(浄土宗)を継承し展開させたものです。

 浄土真宗の教義は、往相回向(おうそうえこう/自分の行じた善行功徳をもって他の人に及ぼし、自分と他人と一緒に弥陀の浄土に往生できるようにと願うこと)です。

 宗派の特徴は、僧侶に肉食妻帯が許され、無戒である点です。明治時代まで表立って妻帯の許される宗派は、浄土真宗のみでした。

にちれんしゅう
日蓮宗

 日蓮宗の開祖は日蓮(にちれん)です。

 日蓮は、法華経(妙法蓮華経)を釈迦の正しい教えとして選び、南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)を唱えることを重視しました。

 また本尊を仏像ではなく、法華曼荼羅(ほっけまんだら)と呼ばれる法華教の世界を描いた図を本尊としました。


開祖 日蓮

平成24年10月25日
開祖 一遍

じしゅう
時宗

 時宗は、鎌倉時代末期に興った浄土教の一宗派です。開祖は一遍(いっぺん)です。

 阿弥陀如来への信・不信は問わず、念仏さえ唱えれば往生できると説いたのが特徴です。

 浄土宗が阿弥陀如来への信仰心の表れとして念仏を唱えることを重視したのに対して、時宗は阿弥陀如来の本願力は絶対であるがゆえに、それが信じない者にまで及ぶという解釈です。

りんざいしゅう
臨済宗

 臨済宗の開祖は鎌倉時代に宋で学んだ千光国師・栄西(えいさい/ようさい)です。

 同じ禅宗の曹洞宗が地方豪族や一般民衆に広まったのに対し、臨済宗は時の武家政権に支持され、政治・文化に重んじられました。

 特徴は、法嗣(はっす)と呼ばれる師から弟子への悟りの伝達を重んじているところでしょうか。

 法堂(はっとう)の天井に龍が描かれている寺院が多いので龍めぐりしたいと思います。


開祖 栄西


開祖 道元

そうとうしゅう
曹洞宗

 曹洞宗は、日本での開祖は鎌倉時代に宋で学んだ道元です。

 教義は、修証一如という、無限の修行こそが成仏であるとする教えです。よって仏教界において最も修行が厳しいとされる宗派であります。

 約15,000ほど寺院が傘下にある宗派ですが、完全に永平寺派と総持寺派の二頭体制になっており、宗派のトップである宗務総長も両派が1期4年毎に交互に交代し、幹部も半数ずつ選んでいる気のつかいようです。

おうばくしゅう
黄檗宗

 黄檗宗は、臨済宗、曹洞宗に次ぐ禅宗の一つです。

 開祖の隠元隆g(いんげんりゅうき/隠元禅師)は、元々中国福建省の黄檗山萬福寺の住職でしたが、日本からの招請に応じて今の京都府宇治市に同名の黄檗山萬福寺を開きました。

 黄檗宗は、臨済宗黄檗派として出発しましたが、明治09年に黄檗宗として独立しました。特徴として、極めて中国様式の禅宗であることです。お経も唐音と呼ばれる中国語で読まれます。


開祖 隠元隆g

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